【書評】堺屋太一「三度目の日本」を読んで

かぶとたいぞうです。

堺屋太一氏の絶筆となった書籍「三度目の日本」を読み終わりました。相変わらず示唆に富んだ内容で、近未来を想像する手助けとなりました。

ページ数が少なく、少し物足りない感じもしましたが、明瞭完結で分かりやすい内容でした。



堺屋太一「三度目の日本」の要旨

要旨をまとめると次のとおりです。

  1. 日本は3度目の戦後を迎える。1度目は幕末後の明治維新時代、2度目は第二次世界大戦後の高度成長時代、そして今回3度目は今の時代を終えた新しい時代。
  2. 明治維新は富国強兵と殖産興業の時代、第二次世界大戦の後の高度成長は大量生産と消費の時代、そしてこれから迎える3度目の日本は楽しみを求める時代。
  3. AIやロボット、ドローンなどの技術により、労働時間が大幅に減り、人々は楽しみを求めるようになる。
  4. いつの時代でも官僚が仕切るようになったらその時代は駄目になる。今も官僚が仕切っているからどんどん世の中が駄目になっている。

堺屋太一氏の講演を聞いたことがある

堺屋太一氏のお話は直接聞いたことがあります。

株式会社ニトリが毎年行っている、取引業者を招待するパーティに私もゲストで呼ばれたことがあります。

その時、似鳥昭雄会長のお話の前に堺屋太一氏が記念講演を行なったのです。1時間ぐらいのお話でした。



堺屋太一氏のお話は刺激的だった

内容は衝撃的でした。本や公共の電波には載せられないようなことでも講演では話せるので、すごい内容でした。

お話のほとんどは痛烈な官僚批判、公務員批判でした。

書籍「三度目の日本」にも少しだけ記述されていますが、酒酔い運転の話が一番印象的でした。

警察官僚が駅前の居酒屋をつぶし、地方の街をシャッター街にした

日本は警察官僚が酒酔い運転をあまりにも厳しくしすぎたので、地方の駅前の居酒屋が全滅したと言うのです。警察官僚を猛烈に批判し「今の不況は官製はがきならぬ、官製不況だ」とぶち上げました。

勢いに乗った堺屋太一氏はこうもおっしゃいました。



公務員は不況を望んでいる

「そもそも公務員は不況になったほうが嬉しい。不況になったほうが結婚相手として一般の女性にもモテるし、飲み屋でもモテるからだ。社会の仕組みを公務員に任せておいたら不景気になるばっかりで景気が良くなるわけはない」

歯に衣を着せぬ痛快な語り口調に魅了され、1時間の講演はあっという間でした。

東大卒で通産官僚だった堺屋太一氏

東大卒で通産官僚だった堺屋太一氏だからこそできる官僚批判です。普通の人が同じことを言っても「ねたみ」にしか聞こえません。

問題にならないようにと慎重に言葉を選んで話す人が多い昨今、堺屋太一氏のような切れ味の良い論客は貴重でした。



堺屋太一氏の冥福を祈る

昨年(2019年)の2月8日にこの世を去った堺屋太一氏のご冥福をお祈りし、この本をおすすめします。

ごきげんよう。


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著者かぶとたいぞう拝。


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