かぶとたいぞうです。
降りしきる雪を眺めながら、ひとり黙ってお茶を飲み、人生を見つめなおす時間もまたいいものです。
思えば、若い頃の私は「忙しさ」に憧れていました。
若い頃は忙しさに憧れていた私
若い頃の私は、大きなスケジュール手帳に、ビッシリと書き込まれた自分の予定を見るのが好きでした。これみよがしに、人にも見せて優越感に浸っていました。
子供の頃見た映画かドラマの影響でしょう。秒刻みのスケジュールが成功者のイメージだったのです。
スケジュールをびっしり入れていた
実際、私の一日のスケジュールは過酷でした。昼食の時間もトイレの時間もありませんでした。寝れるときに寝て、食えるときに食いました。
その代わりお金があったので、遊ぶときは派手に遊ぶことができました。
だからススキノでもモテました。ちょっとした有名人にもなりました。いい気分にもなりました。
よく稼いで、よく遊んだ
よく稼いで、よく遊ぶ。激動の毎日でした。
「すごいですね」「頑張っていますね」「活躍していますね」と言われるのが好きでした。
今の私は一日中ひま
今の私はそれとは正反対の生き方をしております。
時間はたっぷりあって、これと言ってしなければならないことは何もありません。あえて言えばこのブログを書くことが日課ですが、書かなければならないわけではありません。書きたいから書いているだけです。
稼がないし、お金も使わない
お金はありませんが、使う必要もありません。飲みにも出ていませんが、別に飲みに出たいとも思いません。家で飲むほうが好きになりました。
稼がないし、お金も使いません。平和な毎日です。
もう誰も「すごいね」とは言ってくれませんが、言ってもらおうとも思いません。
しかし毎日が充実している
しかし実に充実しており、「生きている」という実感があります。妙な「生の喜び」を感じます。
以前忙しく動き回っていたときには見えていなかったものが見えるようになり、以前多くの人たちに囲まれていたときには気づかなかったことに気づきます。
寝るだけの家が城になった
今私が住んでいる郊外の一軒家も、以前は帰ってきてただ寝るだけの場所でしたが、今は自分の城になりました。
こんなに素晴らしい景色の中で暮らしていたのかぁ、こんなに素晴らしい散歩道があったのかぁ、こんなにきれいな野鳥がいたのかぁ、と毎日が新しい発見です。
私はこれでいいと思っています。これ以上のものは望みません。足ることを知ってしまったのです。
以前交友があった「成功者」
ローカルニュースサイトで、以前交友があった経営者の活躍を目にしました。
どこかの若手経営者向けのセミナーに「成功者」として呼ばれ、講師を務めるようです。
彼は念願だった地方株式市場への上場を果たしました。彼の定義では彼こそが「成功した経営者」なのです。
世間では彼こそが「成功者」
彼は昔から「成功者」と見られる為に、ありとあらゆる努力をしてきました。身につけるものに気を使い、自分を高く見せ、強引な手腕で悪評を買ったり、悪い噂をたくさん持ちながらも、結局は上場を果たしたのです。
凄まじい執念でことを成就したのです。彼こそ、ある意味で「成功者」なのでしょう。
ナポレオン・ヒルによる成功者の定義
ナポレオン・ヒルはかつて著書の中で、「人生における成功とは、その人が望んだ通りの人生を実現することだ」と言っています。
と言う事は、その人が平凡な人生を望むなら、平凡な人生こそがその人にとって成功のはずです。
いわゆる「成功哲学」での成功とは
しかし、いわゆる「成功哲学」を説く人たちは、お金、地位、評価、有名度、などを「成功」と呼んでいるのです。それらを望まぬ者はいないと決めつけているからです。
彼はセミナーで若手経営者の前で何を話すのでしょうか。時間があったら聞きに行きたい気もしますが、何を言うかはだいたい想像ができます。きっと今の私にはあまりためにはならないでしょう。
私にとっての成功
今の私にはこれらの本を読むことのほうがより人生の成功に役立つのです。
最近、吉田兼好の徒然草を読み返して心に残った言葉を最後に載せて今日の記事を結びます。
「死を憎まば生を愛すべし。存命の喜び、日々に楽しまざらんや」
徒然草、かぶとたいぞう意訳
死を意識して生を楽しむことが大事。生を楽しむとは、忙しく歩き回ることではなく、日々の生活の中で自分の生を見つめること。生を楽しんだ者が人生の成功者。
ごきげんよう。
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「カブとタイ」をいつもお読みいただき、まことにありがとうございます。
著者かぶとたいぞう拝。
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いつも唸りながら感心してブログで勉強させて頂いております。
最後の徒然草意訳 最高です!心に刻みます。
ハシナリー様
かぶとたいぞうです。
コメントありがとうございます。
恐れ入ります。
これからもよろしくお願いいたします。