かぶとたいぞうです。
マーケティングの古典的理論に、PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マトリックス)というものがあります。むかし、ボストン・コンサルティング・グループが提唱した理論です。マーケティングを学ぶ者は必ず勉強しました。
企業(メーカー)が持つ各製品が、どのような状態になっているか、バランスがとれているかを分析するためのツールです。
PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マトリックス)
プロダクトとは製品のことです。ポートフォリオとは各製品の組み合わせ、バランスのことです。そしてマトリックスとは行列表の事です。
つまり、メーカーが、自社の製品群の組み合わせがバランス良く存在しているかをチェックための分析表と言えます。
一般的に縦軸にその製品市場の成長性をとり、横軸には我が社のシェアをとります。
4象限の右上(第1象限)は、その製品の成長性は高いものの、我が社のシェアはまだ低い状態の製品です。スタートはここです。
つまり、流行っている分野なので後発参入したが、自社の製品はまだそれ程売れていない、市場のシェアは低い、という製品です。「問題児」と呼びます。宣伝に金ばかりかかり、その割には売り上げが低いからです。
左上(第2象限)は「花形」です。その製品の市場はまだまだ成長しており、自社のシェアは高くなりました。競争に勝って、一番売れている状態です。売上は最高です。しかし、利益はそれぼどありません。ナンバー1の状態を維持するために、宣伝の継続も必要だし、ライバルが追いつくので販売価格も抑えなければなりません。
金のなる木(キャッシュ・カウ)
左下(第3象限)は「金のなる木」です。高いシェアを保持した状態で市場の成長性が止まりました。ライバル他社は撤退して、我が社の独壇場です。以前ほど売上は高くないですが競争が無いので利益は高いのです。一番儲かる状態です。ちなみに英語では「キャッシュ・カウ」(現金を搾り出す乳牛)と言います。
右下(第4象限)は「負け犬」です。競争に勝てず、我が社のシェアを上げる事ができないまま市場の成長性が止まりました。売れないし儲からないので撤退しなければならない状態です。
ここで重要なのは、「金のなる木」は市場の成長性が止まった分野で生まれるという事実です。流行っていない分野に「金のなる木」があるのです。
ハイテクなど成長分野には「金のなる木」は存在しない
AI、ハイテク、IT、ロボット、ドローン、自動走行など、最先端の科学技術分野は成長がめざましいです。しかし、その分野にはまだ「金のなる木」は存在しません。激しい競争が繰り広げられているからです。儲からないのです。
「いまどき、そんなもの」と言われるような分野にこそ「金のなる木」があるのです。
例えば、いまどき「たたみ屋」なんて流行りません。私の小さいことは「たたみ店」はたくさんありました。しかし今は洋間が中心で、畳の部屋などほとんどありません。
しかし、今でもたたみの部屋は一定の割合で存在するし、和室を好む人はいるのです。だから高シェアを獲得して今でも存続する「たたみ店」は言い値で畳を売れる「金のなる木」を持っているのです。
PPMは、本来自社製品の組み合わせを分析するツールですが、株式の銘柄選びにも応用できます。
タバコは典型的な「金のなる木」
私は「タバコ」が「金のなる木」だと思っています。タバコなんていまどき流行りません。吸う人も作る人も、みんなどんどん止めていきます。しかし、吸うのを絶対に止めない人も一定数います。止めない人はどんなに値上げしても止めません。
しかし、タバコの業界はすでに成長が止まったので新規参入はありません。シェアもほぼ決まりです。
フィリップモリスなど、高シェアのタバコ銘柄を持つメーカーは儲け放題なのです。新製品の投入も必要ありません。新たな設備投資も要りません。
それに比べ、ハイテクメーカーはどれも「問題児」です。大化けする可能性もありますが、「負け犬」に転落する可能性もあります。大事な老後資金を預ける相手ではありません。だから私はハイテク株には手を出していません。
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「金のなる木」銘柄
私が持っている株式の中で言うと、PMフィリップモリス、JT日本たばこ、LVSラスベガス・サンズ、GISゼネラル・ミルズあたりが「金のなる木」だと思います。いずれも市場の成長は止まり、新規参入は少なく、しかも既に高いシェアを持っており市場を独占しています。
「花形」と言える銘柄はたくさん存在します。「花形」は華々しいですが、それほど儲かっていないので株価の割には配当が少ないです。しかし、その会社の製品が高いシェアを持っているなら、将来「金のなる木」になる可能性はあります。
私が持っている銘柄の中では、JNJジョンソン・エンド・ジョンソン、ABBVアッヴィ、PEPペプシコ、LMTロッキード・マーチンが花形だと思います。
私が持っている全8銘柄のうち、半分の4つが「金のなる木」残りの4つが「花形」です。その花形もいずれ「金のなる木」になる可能性の高いものばかりです。
我ながらバランスのとれたポートフォリオだと思います。
老後の資産として米国株を長期運用するなら、「金のなる木」を意識してください。「金のなる木」は成長分野ではなく、むしろ衰退分野に存在することを忘れないで下さい。
それを知っているか否かが老後の運命を分けます。
ごきげんよう。
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著者かぶとたいぞう拝。
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