かぶとたいぞうです。
今日は夕方から金正哲(キム・ジョンウン)北朝鮮労働党委員長とトランプ米国大統領の会談がものわかれになった報道ばかりです。
米国側が「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」を強く求めたのに対し、金委員長は一部開発施設の廃棄という部分的な譲歩しか提示せず、しかも全経済制裁の解除を求めたからのようです。
北朝鮮は「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」には応じない
テレビではいろいろな解説者や専門家が、結果が予想外だったようなことを言っています。金委員長の交渉が失敗したかのような評価をするコメンテーターもいます。
しかし、米国が北朝鮮の核の全廃棄を強く求めれば、今回の交渉は成立しないだろうと私は最初から思っていました。
金委員長にとって核を持ち続けることは生命線です。核を完全に廃棄するわけはありません。
イラクのフセインは核を持っていなかったから血祭りに上げられた
かつてイラクのフセイン大統領は、今回と似たような米国との交渉で米国の提案を素直にのみました。その結果、血祭りに上げられました。
フセインは軍事施設の査察を全面的に受け入れて、「大量破壊兵器」が存在しないことを証明しようとしました。まさに「検証可能」な状態にしたのです。
その結果どうなったのか。イラクに「大量破壊兵器」が無いことがはっきり分かると、米国はフセインを逮捕し牢獄にぶち込み、吊るし上げたのです。
金委員長はそれを見て「イラクは核を持ってなかったから潰されたのだ」と思ったはずです。
「正義とか道義より核の力が世の中を制するのだ」と強く思ったに違いありません。北朝鮮が核開発に全力で邁進していったのはその後です。
現在の金委員長は、自分が核を持っているからこそ、米国の大統領と対等に話ができるということを知っています。「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」など飲むわけがありません。
核を保有する米国が北朝鮮の非核を求めるのは矛盾している
そもそも核は悪なのか。悪であるならば、どうして米国は保有しているのか。米国が保有するのはいいが、北朝鮮が保有すると悪なのか。
米国には理性も知性もあり、核兵器をコントロールできるが、北朝鮮などの野蛮国の指導者には知性も理性も無いので不用意に使われる可能性があるから取り上げる、というのが核保有国の理屈です。
しかし、現在表向きに核の保有を認められている国は理性と知性を認められて核保有国になったのではありません。全て第2次世界大戦の戦勝国だから核保有国になったのです。理性や知性などではなく、単に戦争で勝ったから核兵器の保有が認められているのです。そこには武力による覇権と国際政治力学しか存在しません。これはまぎれもない事実です。
ちなみに日本も敗戦国なので核兵器の保有は未だに認められていません。
北朝鮮の金委員長はそのへんの理屈を充分心得たうえで無理やり核保有国の仲間入りをして米国と対等な交渉をしているのです。ある意味すごい人です。
朝鮮半島の脅威と緊張は今後も続く
私自身は自由主義陣営の側だし、米国株長期投資を通じて資本主義と自由主義の恩恵を享受している身です。米国が築いてきた世界体制側の人間だし、今の世界体制が変わってほしくないです。もちろん戦争も望みません。
しかし、第三者的に現在の米国と北朝鮮の交渉を見ていると、そんなに簡単には行かないことぐらい分かります。
米国が核を決して廃棄しないのと同じように、北朝鮮も核兵器を廃棄することはありえないと思います。廃棄したらその時点で袋叩きにあうのが現実社会です。
経済制裁の解除を条件に北朝鮮が核を完全に廃棄することはないでしょう。米国が経済制裁を完全に解いて何年も経過してから、やっと少しずつ核を廃棄していく可能性はあると思いますが。
北朝鮮をここまで放っておいたのが悪いのです。
朝鮮半島をめぐる緊張はまだまだ続くと思います。ただ、米朝が裏で繋がって緊張と脅威を演出している可能性もあると思っています。
ごきげんよう。
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著者かぶとたいぞう拝。
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