かぶとたいぞうです。
先週末、26日のジャクソンホールでのパウエル議長演説以降、株価は3日続落しています。
パウエル議長が言ったのはこうです。
「インフレがまだ収まっていないので、利上げと金融引き締めを継続する」
こうも言いました。
「たとえ景気が悪くなっても、利上げと金融引き締めを継続する」
何も目新しいものはない
パウエル議長はこれらのことを今年の3月くらいにすでに言っています。だから、何も目新しいものはありません。
しかし市場には憶測がありました。
市場の憶測
「そうは言っても、景気が悪くなれば多少は景気に配慮して利上げを緩くするだろう」
しかし今回パウエル議長はその憶測をまっこうから否定しました。
「景気に関係なく、インフレが収まるまで利上げと金融引き締めをやめない」
もう一つの憶測
また、市場にはこういう憶測もありました。
「7月はインフレが止まった。もうそろそろ利上げを緩めるのではないか」
しかしパウエル議長はそれも否定しました。
「1ヶ月ぐらいの数値では分からない。しかも前年同月比で見るとインフレ率はまだ高止まりで、収まったとは到底言えない」
パウエル議長は市場の淡い期待と楽観論を打ち砕いた
パウエル議長は26日の講演で、市場の淡い期待と楽観論を打ち砕いたのでした。
それはいいとして、なぜ株価がこうも下がるのか。
この機会にあらためて金利と債券、景気、株価の関係を考えてみたいと思います。
金利と債券価格
一般論ですが、金利と債券価格には負の相関関係があります。
いま、額面100万円の国債に年1万円、1%の金利がついているとします。
その後、金利が上がって新しく発行された国債は額面100万円に対して2万円、2%の金利が付くとします。
1%の金利しか付かない発行済の国債(既発債)を市場に100万円で売りに出したら売れるか。
売れるわけがありません。
いくらなら売れるか
ではいくらで売りに出したら売れるのか。
50万円なら売れるかもしれません。50万円の国債に1万円の金利が付けば年間で2%になるからです。
このように金利が2倍になれば既発債の価格は半分になるという単純な負の相関関係があるのです。
金利と景気
では金利と景気の関係はどうでしょう。
これも一般論ですが、金利が上がれば景気が下がることが多いと言われています。
金利が上がれば、企業はお金を借りづらくなり、設備投資や事業拡大を思いとどまるかもしれません。
また住宅ローンの金利が上がれば、個人の住宅購入意欲に水をさし、住宅が売れなくなってしまいます。
個人の消費ローンやクレジットカードのキャッシングも減るので、消費も減るでしょう。
このように金利が上がれば投資も消費も減り、ものが売れなくなり、景気が下がる可能性が高いのです。
金利と株価
では最後に金利と株価にはどのような関係があるか。
これは難しいです。
前述の通り、金利が上がれば、企業はお金を借りづらくなり、設備投資や事業拡大を思いとどまるかもしれません。
しかし、事業を拡大しても、それがうまくいくかどうかは経営手腕によります。事業を拡大して業績が悪くなる会社も多いのです。
営業キャッシュフローの潤沢な優良企業には金利は無関係
また、営業キャッシュフローの潤沢な優良企業は、設備投資のために銀行からお金を借りる必要はありません。だから金利が上がっても関係ないのです。
金利が上がれば、キャッシュフローの脆弱な会社は、金利コスト負担のために業績を悪化させて株価が下がるかもしれません。しかし、そうでない会社の株価は金利の影響を直接は受けないのです。
インフレで業績が上がり株価があがる会社も
むしろ、金利が高いということは物価も同じように高いのだから、売上単価が増大して利益も増えて株価が上がる可能性だってあるのです。
実際にインフレ時に業績を伸ばした会社は数多く存在します。
ベンジャミン・グレアム氏いわく
ウォーレン・バフェット氏の師匠であるベンジャミン・グレアム氏はこう言っています。
「インフレになっても株価が上がるとも下がるとも限らないが、債権は必ず下がる」
インフレ=利上げ=株安と決めつけているのではないか
いま市場は、インフレ=利上げ=株安と決めつけているようです。
しかし、インフレになっても株価が上がるとも下がるとも限らないのです。
特に営業キャッシュフローの潤沢な米国の優良企業、景気の影響を受けづらい地味な生活関連メーカーなどは、インフレでも高金利でも不景気でも業績を伸ばし株価も配当も上がる可能性があります。
チャンス
だからそのうちバリュー株を中心に、下り過ぎた株価を調整するような形で買いが入ると思います。
逆に言うと、今がバリュー株を買うチャンスかもしれません。
ごきげんよう。
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著者かぶとたいぞう拝。
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