かぶとたいぞうです。
今年の7月に矢野経済研究所が酒類市場の調査レポートを公表しました。
それによると2018年度の酒類メーカー出荷額は3兆5100億円で前年比98.6%の減少でした。酒類の出荷額と売上は毎年少しずつ減少を続けているようです。今年は消費税が2%アップするので、さらに落ち込むのではないかと思います。
日本酒が売れないという意味ではない
「酒が売れない」と言うのは「日本酒が売れない」という意味ではありません。ビールも発泡酒も含めて酒類全般の売上がずっと減少傾向にあるという意味です。日本酒はむしろ海外で人気が上がり輸出が伸びています。日本国内の酒類の販売が振るわないのです。
酒類の売上が低迷している原因はいろいろ考えられます。私が思いついたのは次の3点です。
- 若者の酒離れ
- 少子高齢化(年寄りが飲めなくなった)
- 飲酒運転撲滅
1.若者の酒離れ
私の息子は私の若いころに比べると、それほど酒を飲みません。息子に聞くと、息子は同世代の中ではまだ飲むほうで、友達はもっと飲まないそうです。息子の世代は外に飲みに出ることもあまりなく、飲むとしてもせいぜい家飲み、宅飲みらしいです。私の若いころとはずいぶん違います。
若者の酒離れに関してはいろいろな人がいろいろな事を言っていますが、根本的な理由は間違いなく金が無いからだと思います。若者ももっと金があればもっと酒を飲むのではないでしょうか。
不景気のシワ寄せが若者に集中しています。就職できない者、非正規社員、アルバイトの人が多く、生活に余裕が無いのです。酒を飲んでいる場合じゃありません。
2.少子高齢化(年寄りが飲めなくなった)
少子高齢化の影響もあると思います。
生活に余裕のない若者に比べて、年寄りは年金をもらって余裕のある生活をしている人がたくさんいます。しかし、歳をとると若いころほど酒が飲めません。
飲みに出る回数もめっきり減り、家で飲んでも量は知れています。
かつて大酒を飲んだ人たちが歳をとってあまり飲めなくなっているのです。そして本来酒をガンガン飲むはずの若者は前述のとおり金が無くて酒を飲めません。
金がある人は酒を飲めず、酒を飲みたい人には金が無いのです。
3.飲酒運転撲滅キャンペーン
もうひとつ。誰も言い出しませんが、「飲酒運転撲滅キャンペーン」の成果が酒の消費量を大幅に減らした原因となっていると思います。
違法ではありますが、かつては車で来て酒を飲む人がけっこういました。
車で飲みに出るというより、仕事帰りに車で飲食店に寄るという行動パターンがあったのです。
電車通勤の人は分からないと思います。郊外や田舎に住んでいて車で通勤したり、車で仕事をしている人は、仕事帰りに車で居酒屋に立ち寄りたくなることがあるのです。
そういう人がいることを見越して、郊外や田舎の駅前の居酒屋には必ず車を停めるスペースが2、3台分あったのです。
昔は車で立ち寄って酒を飲んだ
むかしは仕事帰りに車で居酒屋に寄って軽く一杯飲んで、そのまま運転して帰る人もけっこういました。かなり飲んだ時は代行運転を頼みました。多くの人はちゃんと自分で自分を制御できていました。
もちろん悪いことです。飲酒運転は絶対にやめましょう。
でも、かつては車で来て酒を飲む人がいたからこそ、郊外や地方の町の居酒屋は経営が成り立っていたのも確かなのです。
「飲酒運転撲滅キャンペーン」が成功して飲酒運転をする人がいなくなるにつれ、それら郊外の居酒屋とか地方の町の駅前の居酒屋が次々につぶれていきました。
車で立ち寄る居酒屋は全て潰れた
今ではもう、飲酒運転をする人は誰もいません。そして郊外の居酒屋や地方の町の駅前の居酒屋は一軒も残っていません。全て潰れました。
仕事帰りに車で居酒屋に寄って酒を飲んでいた人は、今は家で酒を飲んでいるのだと思います。しかし飲む量は減っているのではないでしょうか。家で飲んでもそんなにたくさんは飲まないものです。
アルコール依存症の人は家で飲んでも外で飲んでも同じくらいの量を飲みます。しかし多くのそうでない人は、居酒屋の雰囲気や他人との会話が好きで居酒屋で飲んでいたのです。そういう人は居酒屋へ行かなくなると家ではあまり飲まないものです。
ちなみにタイでも米国でもヨーロッパのいろいろな国でも、日本ほど厳しく飲酒運転を取り締まっている国はひとつもありません。
それぞれの国で飲酒運転は違法ですが、日本ほど厳しくはありません。飲酒運転や酒気帯び運転の判定となる呼気中アルコール濃度基準も日本が一番厳しいです。
飲酒運転撲滅キャンペーンが街の灯を消した
日本で「飲酒運転撲滅」が大きなキャンペーンとなり、テレビ番組が連日のように飲酒運転事故の悲惨さを語り、加害者を強く糾弾し、新聞が飲んで事故を起こした人をリンチ攻めするようになったころから地方都市の居酒屋の灯りが消え始めました。そして地方に不景気が押し寄せてきました。
その不景気の波は地方のみならず、東京や大阪や福岡や札幌や仙台など大都市の郊外の居酒屋や焼き鳥屋、食堂などの灯も消していきました。しまいには歓楽街の灯も全てかき消していきました。
「官製不況」
いわゆる「官製不況」です。
繰り返しますが飲酒運転は絶対に駄目です。私の主張は飲酒運転を肯定化したり助長するものではありません。
しかし、警察、政府の徹底した飲酒運転撲滅キャンペーンとそれに乗った報道機関が地方の飲食業界に大不況をもたらしたのは事実です。
そこまでやる必要があったのかと疑問に思うのです。
公務員は不景気を喜ぶ
公務員は不況になるのを喜ぶようです。不況になると公務員はモテるからです。
今やススキノの高級店で酒を飲んでいるのは公務員ばかりです。中小企業の社長も、不動産屋も、銀行員も、土建屋ももう飲みには出ていません。
今は公務員というだけで、ホステスさんからは特別待遇を受け、すし屋や料理屋では上客扱いされ、一般女性からは結婚相手として追いかけまわされます。
景気のいい時にはハナもかけてもらえなかったのに不景気になるとモテてモテてしょうがありません。タクシーが長い列を作っているのは庁舎や役所だけです。さぞ気分がいいでしょう。
だから今の学生はみんな公務員志望です。親も子供が公務員になることを望みます。今の時代は公務員が一番幸せなことをみんな知っているからです。
公務員に経済政策を任せてはなりません。公務員が好景気を望むわけはないのです。
国民の生活が疲弊して酒も飲めなくなっている中で、公務員は毎晩高級酒を飲んでいるのです。
ごきげんよう。
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著者かぶとたいぞう拝。
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