【米国株】景気後退で株価が下がるなら、今のうちに持ち株を売って底値で買い戻すべきか?

かぶとたいぞうです。

米国の長短金利が逆転(逆イールド)し、景気後退(リセッション)入りが近いのではないか囁かれています。

景気後退が確実で、株価が下がるのが分かっているのなら、今のうちに持っている株を売って、株価が下がった後に買い戻せばいいのではないか、と考える人がいます。

この考え方は正しいでしょうか。



結論から言うと、正しくありません。

まず、前提から間違っています。



長短金利の逆転は必ずしも株安にはならない

長短金利の逆転が、必ずしも景気後退と株価下落をもたらすわけではありません。今まで米国の歴史上、長短金利が逆転したことは何回もありました。しかし、毎回株価が下がったわけではありません。長短金利が逆転しても、景気後退入りせず、株価も順調に上がった時期もありました。

「風が吹けば桶屋が儲かる」式の話なのです。いつもそうなるとは限らないのです。ヤナギの下でドジョウを見つけたからといって、ヤナギの下にいつもドジョウがいるわけではありません。

経済はその時その時の気まぐれて上がったり下がったりするのです。

本当は気まぐれではなく、いろいろな要素が影響しあっているのですが、あまりにも複雑すぎて誰にも分かりません。だから気まぐれに見えるのです。風が吹く理由と同じです。未だに明日の天気を確実に予測することができないのです。

株はいつ上がるか下がるか誰にも分からない

株価もいつ上がるか下がるか誰にも分かりません。評論家は上がったら後付けの「上がった理由」を言うし、下がったら後付けの「下がった理由」を言うだけです。

今後、株が上がるか下がるかなんて、誰も分からないのです。もし分かっている人がいたら一夜にして億万長者になれますので、誰にも言わないでしょう。

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だから、「景気後退が確実で、株価が下がるのが分かっているのなら」という前提自体がなりたちません。

仮に、もし本当に株価が下がるとしても、持ち株は売るべきではないと思います。どこまで下がるか、いつ下がるか、いつまで下がるか、分からない事ばかりです。



売り買いで利ざやを獲ることは容易ではない

例えば私が平均85ドルで買ったフィリップモリスの株を売るとします。現在価格は約91ドルです。当然、今後下がるだろうと思って売ります。

売った後、なかなか値が下がらず、1年後にようやく86ドルで買い戻したとします。

91ドルで売って86ドルで買い戻したのだから、5.8%儲かったことになります。でもフィリップモリスなら黙って持っていても1年で5%くらいの配当がもらえます。売ってから買い戻すまでの1年間、配当が無かったことを考えると、ほとんど得はありません。

さらに売買益には税金がかかるし、売る時も買い戻す時も手数料がかかるので、結局は余計なことをしただけなのです。場合によっては赤字になります。

底値は誰にも分からない

上記の例では売った時より安く買い戻せたから、まだいいほうです。86ドルになった時に踏ん切りがつかず、まだまだ下がると思って買い戻しせず、その後予想に反して株価がどんどん上がり、結局は100ドルを超えてしまい買い戻せなかった、こんなことなら最初から売らなければ良かった、なんてこともよくあるのです。

実際に以前私がロッキード・マーチンの株を売った時もそうでした。当時180ドルから220ドルくらいを行ったり来たりしていたロッキード・マーチンの株価が230ドルを超えたので売ったのです。その後まちがいなく下がるだろうと思っていました。

ところが実際は、少し下がった後どんどん上がり続け、買い戻すタイミングを掴めないまま、とうとう300ドルを超えました。私が実際に買い戻した株価は約300ドルでした。大損です。

もし下がったとしても、どこが底なのか分かりません。もっと下がると思ったら、それほど下がらずに上がっていくこともあります。逆にこのへんが底だろうと思ったら、まだほんの入り口で、もっともっと下がることもよくあります。

売るにせよ、買うにせよ、ギャンブルなのです。



買う余力のある人は売るべきでない

もし今、米国株を買い増そうとしている最中なら、今までに買った株は売らずに、追加で買うことだけを考えたほうがいいです。

例えば、持ち金3,000万円のうち、半分の1,500万円分の株は既に買い、残りの1,500万円分を買い増そうとしているとします。その場合、残りの1,500万円の買い増しが完了するまで、保有株は売らないほうがいいです。

3,000万円全てを株に交換し終えたら、もう買うお金がありません。あとは税引き後配当率3.5%として、年間105万円を生活費にあてればいいのですが、余裕があれば配当を全て再投資すればいいのです。一部でもいいです。

配当再投資はちょびちょびやらずに、半年に1回とか決めて、自分のルールでやればいいです。

老後の楽しみとしての1部売買はあり得る

歳をとったら新たな投資はやめて、配当の範囲でゆっくり生活すればいいと思います。しかし、することが無くて退屈でしょうがないなら、余裕の範囲内で、売り買いをやってもいいかもしれません。あくまでも余裕の範囲内です。

例えば、持ち株3,000万円のうち1割の300万円分だけ、高いときに売って、安くなったら買い戻すということをやるのです。

1年以内に、10%程度の利ざやを稼げる見込みがあれば、老後の楽しみとしてやってもいいかもしれません。経済考察で頭を使うことができるし、スリルを味わうこともできます。

先の例で言うと、フィリップモリスの株価が何らかの理由で100ドルまで上がったとします。今までの経験上、きっと下がると思い300万円分売ったとします。1年以内に90ドルで買い戻せたら、10%儲かります。30万円です。1年間の配当約15万円との差額は15万円です。これが臨時ボーナスになります。

たとえ買い戻しに失敗したとしても、全体から見ればそれ程大きなリスクではありません。

単なる短期売買とは違い、配当を重視した長期投資をベースにして、その一部で配当を上まる利ざやを狙うのです。

あくまでも、許容できる範囲内のリスクであるならば、老後の楽しみとしてそれぐらいのギャンブルはやってもいいかもしれないという話です。競馬やカジノにはまるよりは、よっぽど健全です。

でも、本題に戻りますが、資産形成(買い増し)の最中に、今後のリセッションを予測して、持ち株を思いっきり売って底値で買い戻すなんて無茶なことは絶対におすすめしません。

たいていはうまくいきませんから。

ごきげんよう。


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著者かぶとたいぞう拝。


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