かぶとたいぞうです。
寿司でも蕎麦でも、世の中には「通(つう)」と言われる人たちがいます。
何やら自分たちしか知らない勝手な作法を作って「素人」を冷やかすのが好きなのです。
そば通、ラーメン通、スパゲティ通
麺類にも「通」がいます。そば通の他、ラーメン通、スパゲティ通などもいます。もっともスパゲティ通はスパゲティをスパゲティとは呼ばず、「パスタ」と呼んで喜んでいますが。
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麺類の「通」は硬麺を好む
で、どういうわけか麺類の通は往々にして硬い麺を好むのです。
柔らかい麺を好む「通」は聞いたことがありません。自ら「通」を名乗るような人は決まって硬麺好きです。
もともと硬麺にはわけがある
もともと硬麺にはニーズがあります。
蕎麦なら出前で麺がのびるのを避けるために、少し硬いうちに釜から上げるのです。配達しているうちにちょうどいい柔らかさになるという寸法です。
ラーメンも具の多いラーメンであれば、具を食べているうちに麺がのびてしまうので、硬麺で出している店もあります。
イタリアのスパゲティ事情
スパゲティに関しては、結婚式のパーティーなどで大人数にスパゲティを振る舞う際、茹であげから客席に運ぶまでに結構な時間がかかるので、半ナマ状態の時に釜から出すのです。
イタリアでは接客マナーとしてすべての客に同時にスパゲティを提供しなければなりません。そのために大釜でスパゲティを茹でて、引っ掛かりの付いた棒ですくい上げ、大きなボールに移し、ソースと混ぜて小皿に盛り、何十人の手伝い給仕らにいっせいに運ばせるのです。
スパゲティのアルデンテとは
大人数用のスパゲティは釜上げから客席までに最低5分はかかります。たいていは10分くらいかかるでしょう。だから普通に茹でたものを出していたんじゃ完全にのびてしまいます。
半ナマ(アルデンテ)で釜から上げるのはそのためです。何もイタリア人が少し硬い麺を好むからではありません。
このように硬い麺にはそれぞれ意味があるのですが、「通」の人はそんなこととは無関係に、とにかく硬麺がいいと言うのです。
店は硬麺は大歓迎
もっとも店側は調理時間が短くなり店の回転率も上がるので硬麺は大歓迎です。
特にスパゲティ専門店は茹であげ時間がネックです。スパゲティを茹でる時間は他の麺類に比べて結構長いからです。
私が指導した札幌の超有名スパゲティ専門店の例
以前札幌の超有名で昼に長い行列のできるスパゲティ専門店のコンサルをしたことがあります。その店では昼時の麺の茹で時間をほんの1分短縮するだけで1日の売上が数万円も増えるのです。
それで客が注文する前にスパゲティを茹で始めるやり方に切り替えました。もっと言うと客が店に入る前から見込みでスパゲティを茹で始める方式に変えました。もちろん見込み違いで余ったスパゲティは廃棄か従業員の食事にまわします。
その店はその方法で売上も利益も5%ほど増加しました。
このように店としたら茹で時間を短くすることで利益が増えるので、硬麺好きの客はありがたい客なのです。
客に硬麺を注文されると嬉しいから客を褒める
以前ある蕎麦屋の店主が言ってました。
客に「麺を少し硬めにしてくれ」と言われたら「通ですね」と言って褒めるんですよ。そうしたらその客はそれ以降もずっと少し硬めで注文します。そのうち言われなくても硬麺で出すようにします。昼の混雑時には茹で時間が短縮しますからたいへん助かります。この方法でうちの店は硬麺好きの「通」ばかりになりました。
店としては硬麺はおすすめだし、ありがたい客
蕎麦屋でもラーメン屋でもスパゲティ屋でも、客に茹で加減のおすすめを聞かれたら、必ず硬麺をすすめます。そして硬麺好きの人を必ず「通ですね」と言って褒めるのです。ありがたい客だからです。
どうして麺類の「通」が揃いも揃って硬麺好きなのか。
もうこれ以上説明しなくても、お分かりですね。
ごきげんよう。
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著者かぶとたいぞう拝。
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