かぶとたいぞうです。
冷たいそばの季節になりました。蕎麦通は「つゆ」をほんのちょっとしか付けない、と言われます。つゆをたっぷり付けるのは野暮だ、という人もいます。蕎麦先1/3程度につけるのがマナーだ、という人もいます。
そんなことはどうでもいいことなのですが、我々日本人は何でも一定の「やり方」を決めたり、「マナー」化したり、ひいてはそれを「習い事」にしたりするのが好きなようです。
江戸時代の蕎麦つゆ
江戸時代には今のように冷蔵庫はありません。だしをとった「つゆ」は夏の暑さですぐにダメになってしまいます。夏の暑い盛りに食べる「ざるそば」「もりそば」の「つゆ」は必然的に醤油をたっぷり入れて、うんと濃くしなければ1日ももちません。
おそらく江戸時代の「つゆ」は今の何倍もしょっぱいものだったと思われます。例えば、そうですね、水で3倍に割るべき「つゆ」を、そのまま原液で使うくらい濃かったと思います。
あるいは、ほとんど醤油に近いものだったかもしれません。だしも今のように濃くはなかったように思います。かつお節のだしは腐敗の原因です。だしをとったらそのぶん醤油をたっぷり入れなければなりません。腐敗防止に砂糖も入れたでしょう。今で言うと、伊勢参りで食べるうどんのたれのようなものだったかもしれません。
いずれにしても今の蕎麦の「つゆ」のように、あっさりと薄味で、かつお節がしっかり効いた「つゆ」でなはなかったはずです。
昔の人がほんのちょとしかつけなかった理由
もうお分かりですね。
そんな「つゆ」をつけて食べるのですから、ほんのちょっとで充分なのです。つけすぎるとしょっぱいですからね。
なにも粋な食べ方のために、ましてやエチケットやマナーのために、ちょっとしか付けなかった訳ではないのです。
まぁ、蕎麦に関しては、「つゆ」に限らず、自称「通(つう)」が多く、何かとうるさいですね。やれワサビがどうの、水きりがどうの、と。
「通」ぶった人は嫌われる
以前その名も「蕎麦通」という本を読んだ事がありますが、「寿司通」同様くだらないことばかり書いてありました。
料理全般、いろいろなもの、いろいろな食べ方を探求する事は大いに結構で私も好きですが、人に講釈したり、さらに人の食べ方にまで口出しする人は嫌われます。
老境に入ると、知っていても知らないふりをするぐらいの達人になりたいものです。
礼の基本は「知識」ではなく、相手に対する「思いやり」ですから。
ごきげんよう。
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著者かぶとたいぞう拝。
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