かぶとたいぞうです。
65歳で厚生年金をもらう時、妻が年下なら月額約3万2千円の「加給年金」をもらえます。意外と知られていないこの制度に関して今日はとりあげます。
加給年金の概要ともらえる条件
厚生年金の被保険者期間が20年以上ある人が65歳になった時、生計を共にする65歳未満の配偶者、または18歳未満の子がいるときに加算されます。
加算額は次の通り。
- 配偶者で年額389,800円(月額32483円)*妻が昭和18年4月2日以後生まれの場合
- 1人目、2人目の子供で年額224,300円(月額18691円)
- 3人目以降の子供で年額74,800円(月額6233円)
大事なポイントは次の3点
- 国民年金ではもらえない
- 65歳までに厚生年金を20年以上支払う
- 妻が年下である
厚生年金は手続きをすれば65歳以前からでも繰上げ支給が可能ですが、その場合でも、加給年金がもらえるのは65歳になってからです。
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他にも細かい規定があります。詳しくは日本年金機構のページをごらんください。
加給年金はなんのためにあるのか
はっきり言って加給年金の制度は、女性の社会進出、活躍を推進している今の政府の方針とは矛盾している古い制度のなごりだと思います。
旦那が定年退職を迎えたら、妻だけ外で働くわけにはいかないので、妻も早期に引退して旦那の面倒を見なさい、という考えかたが前提にあるのだと思います。
妻が年下の場合、引退してもまだ65歳未満なので、年金がもらえません。それで少しだけ妻の分を早期に加算しようということなのです。そのうちに妻のほうも65歳をむかえるので、そうすれば妻も普通に年金がもらえます。
そんなことを言っていたら女性が働く事ができませんが、年金の制度ができたころは、女性は専業主婦があたりまえの時代だったのです。
加給年金の制度は将来廃止されるか見直されると思いますが、制度というものは急には変えられないのでしばらくは続くと思います。
内縁でももらえる加給年金
加給年金に限らずですが、年金全般、配偶者に関しては実質婚主義になっています。
つまり、婚姻届を出した正式な婚姻でなくても、実際に生計を共にしている内縁者であれば配偶者と見なされるわけです。
内縁者には決まった定義はありませんが、少なくとも住民票上の住所が同じで(一緒に住んでいる)生計を共にしているという客観的事実があれば(近所の人の証言など)内縁と見なされるようです。
年金制度は実質婚を認めているので、内縁者には遺族年金をもらう権利もあります。ここが、民法上の遺産と大きく異なる点です。
内縁の妻には遺産相続の権利は(基本的には)ありません。しかし、遺族年金をもらう権利はあるのです。
そして今の時代、土地、不動産などの遺産よりも年金のほうがありがたがられるのです。
ちなみに離婚の時も、今の時代は財産分与より年金分割のほうを強く求められます。
加給年金、遺族年金の悪用を心配する
加給年金は妻が65歳になるまで、何年でももらえます。
わずか月額3万2千円といえども、老後の生活にはありがたい金額です。
男性が65歳の時、妻または内縁の妻が55歳なら、10年間も加給年金がもらえるのです。
もし、うんと年下の女性と内縁関係になったなら、けっこうな期間、加給年金が続くでしょう。
そう考えると、こんなケースを想像してしまいます。
- 長く厚生年金に加入した、女性に縁の無い独身の老人男性
- 結婚する気も働く気もない(または働き口の無い)若い女性
この2人が結びつけば、容易に悪用が考えつきます。
若い女性にとっては、老人を介護しなければならなくなるリスクもありますが、遺族年金がもらえるならと腹をくくる人もいるかもしれません。今はそれほど若い女性にとってきびしい時代なのです。
2人がそれで成り立つのであれば、それはそれでけっこうなことのようにも感じますが、こんなことはいったい、良いことなのでしょうか、悪い事なのでしょうか。
良いか悪いかを別にしても、少なくともそのような事例が増えれば、それでなくとも年金の原資が足りないというのに、さらに足りなくなっていずれ枯渇します。
加給年金とは別に、遺族年金でも悪用はありえます。
女性は長生きするので、例えば20歳で遺族年金をもらい始めた若い女性が100歳まで生きたら80年間も遺族年金を受け取る事になります。
それを防ぐために、平成19年4月から法律が改正されました。ご主人が死んだ時に妻が30歳未満で、かつ、子供がいない場合は、遺族厚生年金の支給を5年間だけにすることになったのです。
それならということで、女性が30歳以上のケースで悪用する人も出てくるかもしれません。今の時代、30歳で未婚、無職の女性はいくらでもいます。30歳からもらい始めても、100歳まで生きれば70年間遺族年金をもらうことになります。
知っていれば得な制度で、自分も使いたいと思ういっぽう、悪用されやすい制度なので心配もしています。
いずれにしても知らない人は損をしますので、みなさんも知っておいてください。
あ、ちなみに、余計なことかも知れませんが、この制度を利用して、若い女性を内縁の妻に引き込もうと思った男性は注意が必要です。
年金制度が実質婚主義ということは、年金分割の権利も内縁者に与えらます。自分が死ぬまで、その若い女性が付き合ってくれればいいですが、途中で別れ話になって年金分割でもめないよう、お気をつけください
楽しい老後を。ごきげんよう。
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著者かぶとたいぞう拝。
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