約束の60歳からの支給(繰上げ受給)だと3割引かれる年金、それが約束の半分以下になる日

かぶとたいぞうです。

以前は60歳から年金がもらえました。それが65歳からの支給に変更されました。



5年かけて支給開始年齢を遅らせた年金制度

変更時点で59歳だった人は「来年から年金をもらえる」と思ったのに、いきなり支給開始年齢が5年も延長されたら老後の計画が狂います。そこで、5年間かけて少しずつ支給開始年齢を延長したのです。

つまり、2年後から支給開始のつもりだった人には3年後を支給開始とし、3年後から支給開始のつもりだった人には5年後とし、・・・5年後から支給開始の人には11年後を支給開始にしたのです。

表にすると次の通りです(見づらいかもしれませんが、1行目が項目の順番です)。

支給開始年齢の変更スライド

変更時の年齢、変更後支給開始年齢、本来の待ち、実際の待ち、延長年数

59歳、60歳から、1年、1年、0年

58歳、61歳から、2年、3年、1年

57歳、62歳から、3年、5年、2年

56歳、63歳から、4年、7年、3年

55歳、64歳から、5年、9年、4年

54歳、65歳から、6年、11年、5年



私の支給開始年齢は65歳です。これを本来の約束どおり60歳から払ってもらうと、3割引にされます。

60歳からもらう約束が65歳からになったということは年金の支給額が目減りしたことを意味するのです。



支給開始年齢を遅らせたのは支給額を減らしたのと同じ

「年金の支給金額自体は下がっていない、ただ支給開始年齢が遅くなっただけだ」というのは子供だましの弁解です。

60歳からもらうのと65歳からもらうのでは大違いです。年金の支給開始年齢が延びたことは、支給金額が下がったのと同じなのです。

ではいったいどれだけ下がったのと同じなのか。それが3割引なのです。年金の支給額がもうすでに約束の3割減らされているのです。60歳からの約束が65歳からに変更されたと言うのはそういう意味です。生涯もらえる見込みの合計額がそれだけ減るのですから。

年金支給開始年齢が70歳になると

現在、年金支給開始年齢をさらに伸ばそうとする計画があります。いろいろ言われていますが、年金支給開始年齢を70歳にしようという意見が多いようです。区切りがいいからだと思います。

次回もきっといきなり5年間延長するのではなく、5年間かけて毎年1年ずつ遅らせるのだと思います。最短でいくと、現在58歳くらいの人から延長し始め、現在53歳くらいの人以降は70歳からの支給になるでしょう。

もし現在53歳くらいの人が「約束通り60歳からもらいたい」と言えば、さらに3割引になると思います。つまり、70歳から支給を65歳に繰り上げるのに3割引、そしてさらに65歳からを60歳からに繰り上げるのに3割引です。



約束の半分以下になる年金支給額

もとを100%とすると、3割引かれた時点で70%になります。そこから3割引くということは70%の70%ということです。

7×7=49、最初を100%とすると49%にまで減らされるのです。最初の約束の半分以下なのです。

現在53歳の人は、年金制度に加入する時、「60歳からもらえる」と説明を受けたのです。そして約束を信じて毎月給料から天引きで払い続けたのです。将来の積み立て貯金のつもりで払ってきたのです。それが実際に60歳になったら約束の半分以下しかもらえないのです。

さらに下げられる年金支給額

支給開始年齢延長だけでも支給額の大幅な目減りです。それ以外にも今後、後期高齢者保険料の値上げや年金にかかる所得税の引き上げなどがあれば、実際には年金額を減らしているのとまったく同じです。

また政府が目論んでいる通りに物価が上昇すれば、年金支給額が実質的に減るのと同じ効果があります。

ここまで年金のことを話すと「それは少子高齢化なので仕方が無い」「年寄りがこんなに長生きするとは思っていなかった」と言う人が多いでしょう。



「しかたない」では済まされない

その通りなのですが、その根本的な問題を解決しようとせずに、ただ「しかたがない」と言っていては、約束が反故にされ、だれも政府の言うことを信用しなくなるのではないでしょうか。

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現に年金が破綻することを予期して年金を支払わない人が大勢います。また、年金をまじめに払っている人をバカにする風潮もあります。年金をまじめに払っている人に対し、「え?払っているの」という人さえいるのです。年金を払わない人が得をし、まじめに払っている人が損をする状態でいいのでしょうか。

だれも手をつけない「少子高齢化問題」

日本が少子高齢化に向かったのは最近ではありません。私が小学生の時に既に「先進国はしだいに子供の数が減って、人口構造がピラミッド型から釣鐘型に変わっている」と習いました。そしてその通りになっただけです。

枯葉【カブとタイ】www.kabutotai.net

確かに年金制度が成り立たない理由は、年寄りが長生きしすぎるからです。子供の数が少なすぎるからです。

でもそれは「仕方ない」のではなく、どうにか解決しなければならないことなのです。全力を挙げて。

さもないと、みんな「年金はもうもたない」とあきらめ「払ったやつはバカだ」という風潮になります。年金を払わない人を助長するだけです。そしてさらに年金制度の崩壊が早まります。



年金の受給ギャップ

このように言う人もいます。

「日本人は長生きするようになったのだから、支給開始年齢を下げるのは当然だ」、「国民が年金を支払う年数と年金を受給する年数のバランスが変わってしまったのだから、もっと支払い年数を増やして受給年数を減らさなければならない」。

数学的にはそうでしょう、その通りだと思います。

でも、長生きしているのは既に60歳から結構な金額をもらっている人たちなのです。毎月30万円も年金をもらって90歳まで30年間ももらっている老人がたくさんいます。彼らはまだまだ生き続ける予定なのです。病院で寝たきりでも生き続けます。充分な年金があるうちは寝たきりでも生き続けることができるのです。

いっぽう、これから年金をもらう人は介護疲れで体調が悪く、長生きできるかどうかまったく分かりません。

「これからの人はみんな100歳まで生きる」という説は、年金支払い期間を延長して支給開始年齢を先延ばしにするには好都合な説ですが、私は信じていません。2、3年前から突然言われ始めたからです。しかも何ら明確な根拠がありません。「医療の進歩」なら昔から進歩していますし。

自分が何歳まで生きるかなんて誰にも分からないのです。

年金の根本的な問題解決を避けてはならない

今現在年金をもらっている人の年金をどこかで打ち切るか、思い切って減額しないと年金の需給ギャップ(収支のバランス)は正常には戻らないのです。

同時に少子化対策をしっかりやらなければなりません。年金未払い者の取り締まりも強化しなければなりません。

それらをしっかりやったうえで、これから年金をもらう人の支給開始年齢の繰り下げ(実質の大幅減額)をやらないと、若い人が可愛そうです。

言い訳ばかり言いながら「正直者がバカをみる」制度を続けると、民度が下がり「美しい国」ではなく「醜悪な国」になり下がります。

ごきげんよう。


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著者かぶとたいぞう拝。


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