かぶとたいぞうです。
498円と書かれたものを買って、お金を払う時に537円とられる。だまされたような気分になるのは私だけでしょうか。
原則的には消費税を含んだ価格表示(内税表示)が義務付けられている
価格表示は今でも、原則的には消費税を含んだ総額表示(お金を払うときに実際に払う金額の表示)をするよう国税庁により義務付けられています。
消費税が導入された当時は
498円(税込み537円)
のような表示の仕方も、まぎらわしいということで違反でした。
原則的には
- 537円
- 537円(税抜き498円)
のように、税込みの金額(総額)だけ、あるいは税込みのほうを強調した表示しか認められなかったのです。
なぜ、最近は税抜き価格表示が多くなったのか
このように、価格の表示は税込みの総額表示が義務付けられていたのですが、平成26年4月1日に消費税を8%に上げた時、その1年半後の平成27年10月1日に消費税を8%から10%に再度上げる予定をしていたため、わずかな期間に価格表示を2回も変えるのはたいへんだろうという議論になったのです。
そこで、総額表示義務の特例として、「現に表示する価格が税込価格であると誤認されないための措置」を講じている場合に限り、税抜き表示でもかまわないとしました。
これは、国税丁のホームページにも明記されていますが、本来は「値札の貼り替え等の事務負担に配慮する観点」からとられた特例でなのです。
つまり、スーパーマーケットなどの棚に張ってあるバーコード付きの値札を全て作り直し、1年半後に再度全て作り直すのはたいへんだから、誰でも分かるように「全て税抜きです」とか「会計時に消費税を加算します」などと書いておけば、値札はそのままでいいということになったのです。
国税丁はさらに、このような特例が許されても、なるべく業者の負担ですみやかに総額表示(税込み価格表示)にするように、としています。
その後はみなさんもご承知のとおり、消費税を8%から10%に上げることは何回も見送られ、「総額表示の特例」の期間も伸びたのです。
ずるい業者や飲食店が「総額表示の特例」を悪用し始めた
消費税がなかなか上がらず、特例が特例でない感じになり、しだいに扱いがあいまいになると(ただし、国税庁は今でも原則総額表示を義務付けています)、なかには特例を悪用して、最初から税抜き価格を表示する業者が現れました。
あろうことか、業者を指導する立場にある商工会議所や商工会なども「特例を利用して、値ごろ感を出すための税抜き表示も良いことになりました」などと宣伝し始めたのです。
飲食店は、印刷されたメニューや壁に貼った価格表などを作り直すのは大変ですが、黒板やホワイトボードに書いたメニュー、簡単なワープロのメニュー、毎日書き換える「本日のお品書き」などはいくらでも修正が可能です。それなのに、あえて税抜き表示をしておいて会計時に消費税を足すのは国税庁の指導にも反しているし、客を欺く行為だと思われてもしかたありません。
日本の税抜き価格表示には外国人観光者も困惑している
現在の日本の税抜き価格表示には外国人観光客も困惑しています。いくら特例とはいえ、税抜き価格だけを表示しておいて、会計時に消費税を加算する国なんて日本しかありません。
特に飲食店の価格表示の悪用は、「チャーム」、「チャージ」、「お通し」とともに外国人観光客の間では不評をかっています。
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私の好きなタイにも消費税(付加価値税)がありますが、厳しく内税表示(総額表示)が義務付けられていますし、常識的にも税抜き表示をする人はいないので、消費税の存在を感じたことがありません。多くの人が、タイには消費税が無いと勘違いしているくらいです。
日本でも消費税以外はすべて税込み表示ですよね。たとえば酒類には酒税がかかっていますが、酒税抜きの価格を表示しておいて、会計時に酒税を加算して取る人なんて聞いたことがありません。本来商品に含まれる税金は全て表示価格に含まれているに決まっているのです。
日本人は元来、正直で誠実で、嘘やごまかしを嫌う民族です。
いつになったら消費税が10%になるか分かりませんが、特例を悪用した便法に乗って人を欺くのはもうやめましょう。
最初から税込み価格を正々堂々と表示して、真剣勝負している店はいくらでもあります。そんな店にはしっかりと固定客がついています。みんな口には出さないけど、ちゃんと見ているのですよ。
この記事を読んだ小売店や飲食店の経営者が、1人でも考え直してくれたら望外の喜びです。
ごきげんよう。
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著者かぶとたいぞう拝。
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