かぶとたいぞうです。
「株は下がるかもしれないが、預金貯金は必ず下がる」と聞くと、どうして?っと思う人もいるかも知れません。預貯金は必ず下がるのです。額面は下がりもしないし上がりもしませんが価値が下がるのです。
消費税が2%上がれば物価は当然2%以上あがる
来年の10月には消費税が上がります。消費税の上げ分2%は価格に転嫁されますから、2%上がるのは当然です。前回5%から8%に上がった時は物価は3%よりもっと上がりました。便乗値上げです。だから来年も2%以上あがると思ったほうがいいです。
消費税の引上げは10%で終わりません。社会保障費や医療費が足りなくなるので、これからもまだまだ上がります。そして、その都度物価は確実に上がります。国際為替では円も下がり、輸入品が高騰します。政府は国債などの借金を目減りさせるためにインフレターゲットを設定して、しゃにむに物価を上げようとします。長期でみると今後物価は上がり続けるとみたほうがいいでしょう。
物価が上がると預貯金の価値が下がる仕組み
「物価が上がると預金・貯金の価値が下がる」という概念をいくら説明しても理解できない人がいます。簡単に説明すると次の通りです。
今100万円の貯金を持っているとします。その100万円で軽自動車を買おうと思いましたが買うのを我慢しました。
10年後、まったく同じ軽自動車は200万円に値上がりしていました。貯金は100万円のままです。この時、軽自動車を中心に考えると、自分の貯金の価値は半分になったのです。
軽自動車だけが値上がりしたのではなく、全てのものが10年前の2倍になっていたのなら、貯金の価値は全てのものに対して半分になったのです。
現金、預貯金の価値が1万分の1に下がる例
もっと極端な話をしましょう。私の作り話ですが笑えると思います。
昭和初期にある兄弟がいました。兄弟は商売に成功して五千円ずつ稼ぎました。当時の五千円は大金です。(昭和6年の銀座の土地の価格は1坪六千円です)
兄はその五千円で目黒の家を買いました。弟はお金に固執して絶対に使いたくないと思いました。弟は兄の家の1間を借りました。そしてその五千円を壷に入れて兄の家の縁の下にこっそり隠しておきました。
2人とも結婚して子供をつくり、歳をとって2人とも死にました。弟は急死だったので、縁の下の金のことは誰も知りませんでした。
平成30年現在。兄の家を相続した子孫は土地だけで1億円の目黒の自宅を持っています。
兄の家を建て換えた時に、縁の下から壷が出てきました。中には弟の手紙と昔の貨幣、1円札、10円札、100円札など計五千円分が入っていました。弟の子孫が相続した当時の古いお金はそれほど希少価値が無く、古銭的価値は約1万円でした。
同じ五千円が1億円と1万円。1万倍の違いです。土地だけではありません。あらゆるものが昭和初期に比べて大きく値上がりしています。100年近くかけて現金(壷の中の貯金)の価値が1万分の1に下がったのです。
現金ではなくて銀行預金の場合はどうか。100年近くの年月でまぁまぁの金利が付くかもしれませんが、物価上昇率に比べると微々たるものです。特に今後は預貯金の金利はあまり期待できません。
今後は預貯金の金利が期待できない理由
実際には物価が上がれば預金や貯金に金利が付きますが、物価上昇率に比べると微々たるものです。特に今は政府が莫大な借金を抱えているので、たとえ物価が上がっても政策金利をおさえるでしょう。
老後生活を防衛する上で、次の構図はよく覚えておく必要があります。
- 政策金利をおさえる=預貯金に金利がつかない
- →日米金利差でドルが上がり円が下がる
- →食料品はじめ輸入品が全て上がる
- →消費税もどんどん上げる
- →物価がどんどん上がる
- →政策金利をまだまだおさえる
- →預金金利は付かないか微々たるもの
- →政府は国債金利など借金の金利をおさえることができる
- →物価が2倍になる
- →国債など政府の借金が実質半分になる
- →年金支給額も実質半分になる
- →政策金利はまだまだおさえる
- →預金金利は付かないか微々たるもの
- →政府は国債金利など借金の金利をおさえることができる
- →政府はますます楽になる
- →国民はますます苦しくなる
- →特に年金と預金しか持っていない人はいっそう苦しくなる
この構図は規定路線です。
物価が毎年2%ずつ上がると35年で2倍に
政府はインフレターゲットを毎年2%ずつと設定しています。毎年2%ずつ物価が上がれば、35年で物価は2倍になります。今50歳の人は35年たてばで85歳です。まだ生きているのではないでしょうか。預貯金だけにしがみついていたら、生きているうちに預貯金が半分になってしまいます。
株はリスクがあると言われています。その通りです。上がるかもしれませんし下がるかもしれません。でも長期で考えれば、配当が確実に入ってくるので総額はたいてい上がります。絶対ではありませんが、過去のデータを見ると上がることのほうが多いです。物価が上昇しても株価と配当の総額が同じ程度上がるので、価値は目減りしません。うまくいくと物価以上に上がるかもしれません。
いっぽう預金や貯金はデフレが続かない限り価値は必ず下がります。過去のデータを見ても長期的には必ず下がります。過去のどの時期も長期的には物価が上がっているからです。
預貯金を大事にしている人は今後もずっとデフレが続くことを祈ってください。祈りが通じれば目減りせずに、むしろ価値が上がるかも知れません。
ごきげんよう。
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著者かぶとたいぞう拝。
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